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2015-05-03 行先表示板

前回から続く

電車のスマホアプリで、乗り換え検索でないものを探していたわけですが、そもそも乗り換え検索が世に現れる前から、電車は走っていたわけです。わたしだって、電車に乗る前に毎回必ず乗り換え検索を使うわけではありません。

では、乗り換え検索を使わずに電車に乗る時、わたしはどうやって情報を得ているのかというと、それは行先表示板からです。

行先表示板といえば、ホームの天井からぶら下がっていて、次にホームに止まる列車についての情報を教えてくれるものです。
  • 列車の種類(例えば、快速)
  • 行き先(例えば、西船橋行き)
  • 出発時刻(例えば、10:10)

といった情報が2つか3つくらい表示されます。今の時間に合わせて、表示される内容が刻々と変わります。わたしの場合は、電車に乗るときは必ず見るものです。

列車の種類と行先を見ることで、次に来る列車が目的の駅に停まるかが分かります。つまり、自分が乗るべき列車かどうかが分かります。さらに出発時刻を見ることで、あと何分ここで待てば列車に乗れるのか分かります。

ただ、この行先表示板を見ただけでは分からない情報もあります。
  • 列車の種類「快速」は、目的の駅に停まるのか。
  • 列車の行き先「西船橋」は、目的の駅よりも先にあるのか。
こういった情報は、ホームに備え付けの路線図を見ることで分かります。

実際には、ホームにいる多くの人はこの路線図の情報はあらかた頭の中に入っています。その上で、この行先表示板を見ることによって、自分がどう行動すべきか判断するのに必要な情報が揃うわけです。

乗り換え検索に頼らずに電車に乗ろうとするとき、私たちはこういう情報処理をしているわけです。まぁ、当たり前の話なんですが。


この行先表示板と路線図からなる情報提供の仕組みは、考えれば考えるほどよくできているなぁ、と思います。これと、スマホや乗り換え検索といった、最近登場した新しい情報提供の仕組みと比べてみましょう。

従来:少し首を振って行先表示板を見て、さらに少し頭を使って路線図を思い出し、この列車に乗ろうと決める。

新しい:スマホの小さい画面をのぞき込み、サルのように苦心して文字を打ち込み、表示された結果に1から10まで従って、列車に乗る。

どちらが本当に「スマート」なのでしょう。

後者の方が、より間違いなく効率的に移動できるでしょうが、前者の方がヒトとして、ずっと高度で難しい情報処理・判断をしています。 また、ハタ目から見て、イライラしながら猫背でスマホに向き合っている姿は、とても「スマート」には見えないことでしょう。

結局、普通に電車を乗る人にとってスマホも、スマホアプリも必要ない、という結論になりました。



・・・という結論では、困るのです。賞金が。無理矢理でもスマホを使わないといけないのです。いや、無理矢理使わなくちゃいけないようなアプリなら作りたくないなぁ。スマホありき、というところがなんだかスマートじゃない。使ってもいいし、使わなくてもいい、といったそんなアプリがいいな。

などと、こういった思考を経て、これから作ろうとするスマホアプリの目指すものが、既存の乗り換え検索ではない、ということは確かになりました。

むしろ、「スマートフォン」「乗り換え検索」出現よりも前からあった、「スマート」な情報提供手段、すなわちホームにある掲示物や看板の情報を追加、補足するようなアプローチのアプリにしよう、と思いました。こういうアプリならば、使う人はまず行先表示板を見て、もうちょっと情報が欲しいというときに初めてスマホが出てくる、といったことになります。

次回へ続く


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