トップ 追記

2016-06-05 Ver 1.3.0をリリースしました。

ココメトロVer. 1.3.0をリリースしました。

 主な変更点は以下の通りです。
  • [新機能] 有楽町線・副都心線をまとめて表示できるようにしました。
      設定から、「線路を共有する路線をまとめる」がオンの場合、この表示になります。
  • [仕様変更] 千代田線綾瀬駅の表示を変更しました。[仕様変更] 丸ノ内線の表示を変更しました。
      丸ノ内線は、中野坂上駅で分岐しますが、分岐の種類に応じた3種類のルートとして表示するようにしました。
  • [仕様変更] 南北線白金高輪駅-目黒間の表示を変更しました。
  • [仕様変更] 副都心線の急行列車 Fライナーに対応しました。
  • [不具合修正] 同じ駅に複数の列車が停車している時の列車位置情報の表示を修正しました。
  • [不具合修正] 終端駅での時刻表表示が正しくなるように修正しました。

2016-01-27 Ver. 1.2.1をリリースしました。

ココメトロVer. 1.2.1をリリースしました。

 主な変更点は以下の通りです。
  • [新機能] 何らかの路線運行情報がある場合、駅時刻表を表示する際に、詳細を表示するようにしました。
  • [仕様変更] 列車位置情報の取得間隔を少しだけ変えました。
  • [不具合修正] iOS 6での画面スクロール中の表示が乱れる問題を修正しました。
  • [不具合修正] iOS 6での表示の更新が行われない問題を修正しました。
  • [不具合修正] 副都心線小竹向原駅の接続路線の表示を正しくなるように修正しました。
  • [不具合修正] 時刻ラベルの色が正しく変化しない場合がある問題を修正しました。

2015-09-28 うへの驛

ココメトロでは起動後、現在地を取得できない場合、現在地が東京メトロの駅から遠い場所にある場合、は銀座線上野駅、浅草方面を表示するようになっています。

なぜこの駅にしたのかと言えば、東京メトロの数ある駅の中で最も早く開業した駅のひとつが、今の銀座線上野駅であったからです。せっかくなので、開業当時のことを少し調べてみました。


東京メトロ(正式な社名は東京地下鉄株式会社)のルーツを辿ると、大正時代の「東京地下鉄道」というベンチャー企業に行き当たります。東京に地下鉄を走らせることを目的に早川徳次(はやかわのりつぐ)という鉄道マンによって、1920年に作られた会社です。

地下鉄というビジネスの事業性、実現性を投資家や銀行に説いて回ってお金を集め、浅草-上野間に着工したのが、1925年(大正14年)9月27日。同区間が開業したは1927年(昭和2年)12月30日のことでした。

地下鉄が走り始める1920年代の東京では、人々の主な交通手段は路面電車で、それは「市電」と呼ばれていました。東京都はまだ存在せず、都心にあった15区(今の23区とは名前も区分けも異なる)の地域を東京市と呼んでいた時代です。

市電は山手線内のエリアをほぼ隙間なくカバーし、年々新規路線が増えていくような状況でした。当時の東京市電の路線状況はこちらから。それでも、伸び続ける交通需要に対して、路面電車ではすでに不足気味でした。

当時の流行歌で、東京節というがあります。(1919年リリース) この中で、「東京名物の満員電車」という歌詞がでてきます。今でも名物ですが、東京の満員電車はこのあたりがルーツのようです。 この歌では「いくら待っても来やしない」ともあり、今の満員電車とは混雑度合いが全く違っていたようです。


こちらの論文や、こちらには、日の目を見なかったもう一つの東京地下鉄道のことが載っています。

実業家の福澤桃介(福澤諭吉の娘婿)という人で、早川徳次の東京地下鉄道を作る10年以上前に、こちらも東京地下鉄道という会社を立ち上げました。ですが、こちらは時代の先を行き過ぎていたようで、誰にも理解されずに建設が許可されませんでした。

早川徳次の計画もすんなりと進んだわけではありませんでした。東京の交通需要の不足から新しい公共交通が必要とされていた、と今から見れば時代の必然のように思えますが、当時の人にはなかなか理解されなかったようです。まずは鉄道省や東京市に地下鉄建設を働きかけるも理解されず。仕方がない、自分で作るぞと決意し、技術的な問題を一つずつ潰していき、事業性の調査をして周囲を説得して資金を集めて、免許取得、会社設立、着工。難工事を乗り越えて、実際に開業するところまでこぎつけました。

彼をそこまで動かしたものはなんだったのか、ただの金儲けではなかったように思えます。

ちなみにロンドンで世界初の地下鉄が走り出したのは、1863年のことです。そのころの日本といえば、14代将軍の徳川家茂が229年ぶりに京都に上洛し、 孝明天皇に攘夷を誓っていました。福澤桃介による地下鉄計画ですら、ロンドンの地下鉄から40年以上経っています。当時のイギリスと日本の国力の差がよく分かります。


1920年代の日本は、不況・恐慌の時代でした。第一次世界大戦後の不況(1920年3月〜)、関東大震災(1923年9月1日)、昭和金融恐慌(1927年3月〜)が続きます。

不況であるにも関わらず、物価がどんどん上がっていく(スタグフレーション)状況で、とどめを刺したのが世界恐慌(1929年10月〜)でした。

当時の人たちにとって「東洋唯一の地下鐵道」の開業は、そんな暗い時代の中でもひときわ明るいニュースに見えたことでしょう。


開業当時の上野駅の様子についての資料を見つけました。

地下鉄の入り口には、「うへの」と書いてあります。 当時としては常識的なのでしょうが、現代のセンスで見れば、相当斬新なデザインです。この時代ですから当たり前ですけど、統一デザインとかブランドイメージとか、そういう概念は一切なく、ただ楽しそうな嬉しそうな、そんな感じを受ける字体です。 「あさくさ」のフォントもいい味を出してますね。「稲荷町」が「いなりちよ」て書かれていたなんて、冗談みたいです。

当時の国鉄上野駅は関東大震災で全焼し、再建された直後でした。上野駅付近だけでなく、東京全体が震災後のがれきの中から生まれ変わろうとしていた時期でした。

こちらは東京の様子。こちらはこの年の日本での出来事をまとめた資料です。この年は、小田急線や東横線が開業した年でもあるんですね。

今から90年くらい前の話です。今ではすっかり完成されて、生活の一部となり、欠かせないものになったものでも、最初の一歩があった、ということは覚えておきたいですね。


2015-08-22 Ver. 1.2.0をリリースしました。

ココメトロVer. 1.2.0をリリースしました。

 主な変更点は以下の通りです。
  • [性能向上] データの読み込みと画面の表示を並行して行うようにしました。
  • [仕様変更]列車時刻表に基づいて各駅の発車時刻を表示するようにしました。到着予想時刻は、列車時刻表による発車時刻で代替することにしました。
  • [仕様変更]列車時刻表に発車時刻ではなく、到着時刻が記されている場合(終着駅等)は、数字の下に下線を引くようにしました。これまでは、駅の右下に表示していました。
  • [仕様変更] 一部のiPadで画面切替に時間がかかることを確認したため、「切替アニメーションをオフにする」オプションを復活しました。
  • [不具合修正] 英語で使用している時に、現在地付近の駅の一覧が日本語で表示されている状態を直しました。
  • [不具合修正] 月曜日から金曜日の祝日での時刻表表示が正しくなるようにしました。
  • [不具合修正] 金曜日、日曜日の深夜0時以降での時刻表表示が正しくなるようにしました。

2015-07-07 締め切り間際

前回から続く

今回は、ココメトロを作っていた時の実際を思い出して書いてみます。

コンテストの広報に接したのは、幸いなことに募集前のことで、応募サイトの公開とほぼ同じタイミングで開発者登録が出来ました。これが9月の半ばのことです。

当初から、作るのならばスマホアプリしかない、と思って作り始めました。やはり動く列車を前にして使えるようなアプリがいいな、と思うとスマホで動くアプリしかない、と思ったのです。

実際には、スマートフォンから直接オープンデータを公開するサーバーにアクセスするようなアプリを開発することは、運営側は想定していなかったようで、利用規約にもやんわりと直接アクセスするアプリはお断りのようなことが書いてありました。書いてあったのですが、それを知らずに作り始めました。(今から思うと冷や汗モノです。せっかく作ったアプリがガイドライン違反で応募できない、なんて事態になっていたらと思うと。。。 こういう文書はしっかりと目を通すべきですね)

開発者サイトには、フォーラムがあって、いろいろな開発者の人たちがいろいろな意見を運営側の人たちとやりとりしていました。
あるとき、「ガイドラインには直接アクセスするアプリは作らないでほしいといったことが書いてあるが、サーバー立てるのもホネだし、これはちょっと何とかして欲しい」と誰かが言いはじめ、「そうだそうだ」と周りの人たちも言い始め、運営側もそんなにいうのなら、といったような感じで、直接アクセスするアプリが解禁になりました。(その裏で、わたしは「え、ダメだったの!?」とビックリしていました。)

それとほぼ同時に、オープンデータを公開するシステムにガードタイムが導入されました。ガードタイムとは、あるアクセスと次のアクセスの間に一定の時間を置かなければいけない制限のことで、同じ端末から連続してアクセスが集中して、他のユーザーに迷惑をかけるのを防ぐ意味があります。

実はこのガードタイムの導入が、わたしにとってはそれなりに痛手でした。この頃には、オープンデータにアクセスして、ココメトロの原型のようなアプリが出来上がっていたのですが、連続してアクセスするような動作をしていたため、まったく動かなくなってしまったのです。

これまで順調に動いていたのが、突然まったく動かなくなったので途方にくれました。ガードタイムが原因だというのを突き止めるのに、2,3日かかりました。

これが9月の終わりの頃の話です。9月の半ばから作り始め、9月の終わりにはそこそこ動くモノが出来ていたというわけですが、この初めの頃というのは開発をしている期間で一番楽しい頃で、どんどんアプリが充実してくる時期なのです。少なくともわたしにとっては。

初めてサーバーにアクセスして駅名を取得できた、時刻表を取得できた、じゃぁ次はこうしてみよう、ああしてみようというのが続き、時間を忘れて没頭してしまう。自分が考えて作ったカラクリが思い通りに動く、ちょっとエラくなったみたい、という単純な喜びを忘れられない。

プログラマというのは、多かれ少なかれ、そういう単純な動機で動いている人種と思います。

この先は、ドロドロした苦悶の日々が始まります。まず、このガードタイム問題に限りませんが、コードをたくさん書いて動きが複雑になってくるとバグ取りも一苦労になってきます。あっちこっちのコードを行き来して読んだり、デバッグプリントを埋め込んだり、バグにフォーカスしたコードを書いてみたり、と手がかかるようになってきます。

また、いつまでも、ああ動いたというヨロコビに浸っていることはできません。作ってみた機能を取捨選択して、応募するに足るアプリにまとめていかないといけません。ある機能をつけてみた、イマイチだった、作り直し、といったようなことが続きます。前回までクダクダと書いたようなことは、この期間にああだこうだといろいろと試してみて、考えた結果でもあります。

10月は、そんなこんなであっという間に過ぎていきます。

あの機能、この機能を付けようと決めたものの、全然実装していない。もう、この辺にしとこうか。 いや、納得できない。 もうちょっと変えよう。。。
葛藤の日々。

コードをいじくっているうちに、このあいだ潰したはずのバグが復活してくる。バグ潰しに時間を取られる。時間がないのに。。。
焦燥の日々。

フォーラムを読めば、いろいろな人が仕様を変えてくれ、と書き込んでいる。。。今仕様が変わったら絶対間に合わない。 ガードタイム問題の再来か。
仕様変更に怯える日々。

ようやく、これならなんとか、という出来栄えのアプリになり、締め切りまで2週間を残して、Appleへの審査申請を済ませます。これが11月の頭のことでした。
(iPhoneのアプリは、Apple社の審査に合格しないと公開できないのです。審査にはだいたい1週間ほどかかります)

ようやく終わった、と安堵もつかの間。申請して3日くらいたってから、致命的なバグを発見します。特定の条件で必ずアプリが落ちる(強制終了)のです。

どうする。

バグを直して申請し直すか。だが、申請し直した後、もし別の問題でリジェクトされたら間に合わない。このバグは、Appleの審査でリジェクト(審査の結果、問題を指摘され差し戻される)される可能性が高い。仕方なく、審査のやり直しを決意します。どうか、すんなり審査が通りますように。

フォーラムを見ると、同じ問題で悩んでいる人を見つけ、運営の人も期限までに審査にだせば良いよ、と言ってくれている。これでなんとか間に合うか。。。

祈りが通じ、ようやくAppStoreでココメトロが公開されたのが、11月13日のことで。これはコンテストの応募締め切りの4日前のことでした。


とりあえず、思い出話しは今回が最終回です。


2015-06-07 時刻は分だけ

前回から続く

ココメトロでは、時刻の表示はすべて分だけとしています。この方式は、駅に掲げられている時刻表を参考にしています。

出発時刻が、上から6時台、7時台・・・と並び、さらに各行で、「分」だけが横方向に並んでいる、アレです。

この方式の良いところは、表示する文字を減らせることです。掲示物としては合理的な表示方法です。掲示板の限られた面積の中で、文字の数を減らし、一文字を大きくして、視認性を上げることができます。そして、それはスマホの狭い画面の中でも同じことが言えます。

こうした理由で、ココメトロでも「分」だけの表示を採用することにしました。ココメトロを特徴づけているものとして、この「分」だけの表示という点が大きいようです。

ところが、この方式はメリットばかりではありません。1時間以上先の時刻は表すことができないのです。

ココメトロでは、出発時刻の他に到着予定時刻も表示する必要があります。例えば、18時30分発の列車があった場合、出発駅の横には”30”と表示されます。ずっと先の駅に、19時40分に到着する場合、その駅の横に”40”と表示してしまうと、18時40分と誤認する可能性があるのです。

これをどうしようか、と少し悩みましたが、今回は不自由さは覚悟で、あえて「分」だけの表示を採用することにしました。地下鉄に60分以上乗る人は少ないんじゃないか、という勝手な推測もありましたし、何か目新しいものを採用して、このアプリの特徴になるかな、とも思いました。

現状では到着予定時刻が現在時刻から50分以上先の場合は”EE”と表示し、その駅まで50分以上かかる、ということを表すようにしています。

この方式が良いのか悪いのか、まだ結論は出ていません。「時」も合わせて表示するようにすれば、画面がごちゃごちゃしてきて、視認性が悪くなっていくと思うので、悩ましいところです。

次回へ続く


2015-05-26 駅と路線

前回から続く

ココメトロの画面の上の方には、ガイドラベルと呼んでいますが、駅名(例えば上野駅)と路線名(例えば銀座線)と方向(例えば浅草方面)が常に表示されるようになっています。

ここで、注目してほしいのは、駅名の方が路線名よりも上に表示されている、ということです。つまり、まず駅を選び、次にその駅に停まる路線を選ぶという順番を、開発者としては意図しているのです。

それがどうした、という話なんですけど、普通はこの順番が逆なのです。路線名が先で、駅名は後。銀座線上野駅、丸ノ内線新宿駅、千代田線赤坂駅と、よく言うでしょう。この呼び方は、ある路線があって、その途中停車のポイントとして駅がある、「駅」は「路線」の一部であるという考えを反映していると言えます。路線に対して駅がぶら下がるという形。路線が一番、駅が二番。

これは、いわゆる列車を走らせる側の考え方です。

その一方で、こんな考え方もあります。誰かに電車の乗り換えを説明しようとするときを思い浮かべてください。例えば

「上野駅から銀座線で銀座駅に行って、そこで丸ノ内線に乗り換えて、新宿駅に向かう」

とっさに出てきたこの文から読み取れるのは、駅を基準に語っているということです。

乗客はある駅から別の駅に移動するために電車に乗る、路線(電車)は手段にすぎない。乗客はまず駅のほうを先に考え、その次にどの路線を使おうかと考えるものなのです。駅が一番、路線は二番。

こちらはいわば、列車に乗る側の考え方です。

路線を先に考えるか、駅を先に考えるか。どうでもいいような話のようですが、このことに気づいたとき、鉄道事業者と乗客という立場の違いを決定的に表しているなと思いました。このアプリは、「ホームにある掲示物を見る人のためのアプリ」であって、ここはやはり乗客の立場に立つべきだとも思いました。

いわば、「鳥の目」で路線全体についての情報を提供するのではなく、「虫の目」になって、ひとりひとりの乗客の立場で、今いる駅について、近くの列車についての情報「だけ」を提供する。これは、いつもホームの掲示物がしている情報提供と同じです。


こうした考えに基づいて、このアプリの色々なところが決まっています。

ガイドラベルは駅名が上。路線名はその下。操作もその順。まず駅を選び、その次に駅に乗り入れている路線を選ぶ。

ココメトロの路線図の表示も一人の乗客を中心に描く。これから乗る路線を縦線、各駅で乗り換えられる路線は横線とし、例外を設けない。進行方向は常に画面の上。

例えば、下の図のような例。この区間は有楽町線と副都心線が並行して走っている区間です。普通の路線図では、右の図のように実際の線路を忠実に表現しようとして、縦線を2本描くところですが、「虫の目」という観点では、1人の乗客が同時に2つの路線に乗ることはできないので、縦線を2本描くことはありません。むしろ、左側の図のように各駅で並行する別の路線に乗り換えできると考えます。

さらに、アプリ名。

ココメトロの「ココ」というのは「路線」「電車」といったシステムよりも「駅」「今いる場所」「個々の乗客」を重視するという考え方が込められています。

そう、「ココメトロ」は「ここメトロ」でもあり、「個々メトロ」でもあるのです。

次回へ続く


2015-05-09 到着予定時刻

前回から続く。

ホームにある掲示物の情報を追加、補足するようなアプリにしよう、とは決めたものの、では、どんな情報を追加、補足するのか、ということが問題でした。

必要とされているのに、既存のシステムで提供されていない情報がないか。スマホだからこそ、このオープンデータのAPIだからこそ、提供できる情報が。

と、うんうん唸って気づいたもの。それが、目的地への「到着予定時刻」でした。自分の目的とする駅にいつ着くのか、ということです。


掲示物という方法で、到着予定時刻を伝えるのは難しいのです。

まず、ホームに置く掲示物という性質上、あらゆる人が見て役に立つような情報を載せる必要があります。ホームにいる多くの人は、それぞれ目的とする駅が違います。それら各駅の到着予定時刻を示さなければなりません。

また、列車は次から次へとやってきます。当然ですが、同じ目的地であっても列車によって到着予定時刻は異なります。これらをすべて示さなければ到着予定時刻を知らせたことになりません。到着予定時刻は、表示すべきパターンが多すぎて、掲示物で伝えることが難しい情報なのです。

現実的な解として、ホームには「所要時間一覧表」というものがあります。今の駅から先の駅への所要時間が示されています。路線図と一緒になっている場合が多いです。ホームにいる人が目的地の到着予定時刻を知るには、まず自分が乗ろうとする列車の出発時刻を調べ、それにこの所要時間を足して計算する必要があります。

つまり、目的の駅に何時何分に着くかという情報は、既存のシステムでは直接に提供されていない、あるいは知るために手間がかかる、そんな情報なのです。

乗り換え検索ではもちろん到着予定時刻を知ることができます。ですが、そのためには再びヒトからサルに戻り、目的地となる駅を入力しなければなりません。私ならその段階で到着予定時刻を知ろうとすることを諦めてしまいます。


表示すべきパターンが多すぎて、掲示物で伝えるのが難しい情報。さらに既存のアプリであっても提供するのにひと手間がかかる情報。それをより簡単に簡便に伝える。

このコンテストに応募するアプリの形がやっと見えてきました。

到着予定時刻「だけ」を表示するのでは、なんだかよく分からないアプリになってしまう。行先表示板や路線図が遠くて見えない、ホーム内を探しに行くのが面倒、改札の外でも情報が欲しい、という場合に応えるため、これらの情報も合わせて表示し、わかるようにしました。

また、前々回に書いたように、目的駅を入力しないアプリにしようと決めたので、停まる可能性のあるすべての駅の到着予定時刻を表示するようにしました。結果として、より掲示物に近い感じになりました。

こうしてできたのが、ココメトロの路線図の画面です。

実は、ココメトロは到着予定時刻をお知らせするアプリなのです。こんなこと、普通に言ったのでは絶対に伝わらないと思ったので、「時刻表アプリ」と銘打っていますが。

次回へ続く


2015-05-03 行先表示板

前回から続く

電車のスマホアプリで、乗り換え検索でないものを探していたわけですが、そもそも乗り換え検索が世に現れる前から、電車は走っていたわけです。わたしだって、電車に乗る前に毎回必ず乗り換え検索を使うわけではありません。

では、乗り換え検索を使わずに電車に乗る時、わたしはどうやって情報を得ているのかというと、それは行先表示板からです。

行先表示板といえば、ホームの天井からぶら下がっていて、次にホームに止まる列車についての情報を教えてくれるものです。
  • 列車の種類(例えば、快速)
  • 行き先(例えば、西船橋行き)
  • 出発時刻(例えば、10:10)

といった情報が2つか3つくらい表示されます。今の時間に合わせて、表示される内容が刻々と変わります。わたしの場合は、電車に乗るときは必ず見るものです。

列車の種類と行先を見ることで、次に来る列車が目的の駅に停まるかが分かります。つまり、自分が乗るべき列車かどうかが分かります。さらに出発時刻を見ることで、あと何分ここで待てば列車に乗れるのか分かります。

ただ、この行先表示板を見ただけでは分からない情報もあります。
  • 列車の種類「快速」は、目的の駅に停まるのか。
  • 列車の行き先「西船橋」は、目的の駅よりも先にあるのか。
こういった情報は、ホームに備え付けの路線図を見ることで分かります。

実際には、ホームにいる多くの人はこの路線図の情報はあらかた頭の中に入っています。その上で、この行先表示板を見ることによって、自分がどう行動すべきか判断するのに必要な情報が揃うわけです。

乗り換え検索に頼らずに電車に乗ろうとするとき、私たちはこういう情報処理をしているわけです。まぁ、当たり前の話なんですが。


この行先表示板と路線図からなる情報提供の仕組みは、考えれば考えるほどよくできているなぁ、と思います。これと、スマホや乗り換え検索といった、最近登場した新しい情報提供の仕組みと比べてみましょう。

従来:少し首を振って行先表示板を見て、さらに少し頭を使って路線図を思い出し、この列車に乗ろうと決める。

新しい:スマホの小さい画面をのぞき込み、サルのように苦心して文字を打ち込み、表示された結果に1から10まで従って、列車に乗る。

どちらが本当に「スマート」なのでしょう。

後者の方が、より間違いなく効率的に移動できるでしょうが、前者の方がヒトとして、ずっと高度で難しい情報処理・判断をしています。 また、ハタ目から見て、イライラしながら猫背でスマホに向き合っている姿は、とても「スマート」には見えないことでしょう。

結局、普通に電車を乗る人にとってスマホも、スマホアプリも必要ない、という結論になりました。



・・・という結論では、困るのです。賞金が。無理矢理でもスマホを使わないといけないのです。いや、無理矢理使わなくちゃいけないようなアプリなら作りたくないなぁ。スマホありき、というところがなんだかスマートじゃない。使ってもいいし、使わなくてもいい、といったそんなアプリがいいな。

などと、こういった思考を経て、これから作ろうとするスマホアプリの目指すものが、既存の乗り換え検索ではない、ということは確かになりました。

むしろ、「スマートフォン」「乗り換え検索」出現よりも前からあった、「スマート」な情報提供手段、すなわちホームにある掲示物や看板の情報を追加、補足するようなアプローチのアプリにしよう、と思いました。こういうアプリならば、使う人はまず行先表示板を見て、もうちょっと情報が欲しいというときに初めてスマホが出てくる、といったことになります。

次回へ続く


2015-04-25 文字は入力しない

ココメトロというアプリが生まれるまでに、わたしがどういうことを考えていたのか、思い出して書き留めておこうと思います。

コンテストで賞を頂いてからというもの、このアプリに対して様々な感想を頂きました。そんなふうに受け止められたのか、と驚くこともあったので、ひょっとしたらこの雑文も誰かの役に立つことがあるかもしれません。


ココメトロは、東京メトロオープンデータ活用コンテストの応募作品でした。このコンテストを知ったのは、ネット上のニュースサイトでした。

アプリの開発コンテスト。個人でも企業でも応募可。賞金あり!

スマホアプリを作ったことはあったので、頑張れば入賞くらいならできるかもしれない、と最初は思いました。とりあえず、応募できるかどうかは分からないけれど、APIのユーザー登録をして、何ができるかを調べ始めました。

コンテストのお題は、「東京メトロをご利用になるお客様の生活がより便利でより快適になるようなアプリ」というものでした。

電車に乗る人が使うスマホアプリといえば、ひとつしか思い浮かびません。

乗換え検索のアプリです。

出発駅と到着駅を入力すれば、どの路線を使えばいいか教えてくれる、大変便利なものです。わたしもよく使います。

これから電車に乗ろうとする人が使うスマホアプリで乗り換え検索以外のもの、なんてさっぱり分かりません。ああいう便利なものがあるのに、わざわざ別のアプリを作る意味があるのか?なんて考えた時もありました。

初めての場所に行く時にお世話になる、乗り換え検索のアプリで、私にとって気に食わないところがあるとしたら、それは目的地の駅名を入力しなければいけない点です。

スマートフォンや携帯電話で文字入力というのは、日頃パソコンをよく使っている私にとっては、かなりイライラさせられる作業です。それで大学の卒業論文まで書く猛者もいると聞いたことがありますが、わたしの場合は、打ち間違い、誤変換ばかりでさっぱり先に進みません。ぜんぜん「スマート」じゃない。「ヒト」の進化の最先端を行く機械を操作しているのに。

「サル」に戻った気分で一文字一文字ゆっくり打ち込んでいる間に、目の前に次の電車がやってきてしまい、この列車に乗るべきか乗るべきでないのかわからず、オロオロする、なんてこともありました。

こんな経験があったので、これから作るアプリは「文字を入力しない」ことにしよう、とまず決めました。

次回へ続く


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